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DIPROニュース

2013

4月号

2013.04.10

VPSお客様導入事例 PartⅡ
株式会社アドバンテスト様

VPSの活用で仮想メカ上のデバッグを推進、
約1ヵ月の期間短縮と1,000万円の削減効果を実現しさらにフルモデル解析を志向
-グローバル戦略を支える開発生産性向上の武器として-

計測と試験分野で世界を席巻する株式会社アドバンテスト様は、持続的な成長と企業価値の増大を目指して「売上高2,500億円」、「営業利益率20%以上」、「半導体テストシステムおよびテスト・ハンドラの合計シェア50%以上」の3つを中期経営目標として掲げ、全社運動「ACT2014」を展開されています。そして国際市場にビビッドに反応した開発~量産体制確立のために、『ハンドラ』のソフトウェア開発にVPSを導入、仮想メカ上の評価・検証を積極的に進め大きな開発生産性を実現されました。さらにその裾野を各工程に拡大しつつあります。

株式会社アドバンテスト FA事業部 FA商品開発部 HS開発1課 課長 大西様(左)/望月様(右)
株式会社アドバンテスト FA事業部 FA商品開発部
HS開発1課 課長 大西様(左)/望月様(右)

USER PROFILE
本社 : 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目6番2号
新丸の内センタービルディング
会社設立 : 1954年12月
代表者 : 代表取締役兼執行役員社長 松野 晴夫
資本金 : 32,363百万円 (2012年3月31日現在)
従業員数 : (連結)4,464名 (2012年3月31日現在)
事業概要 : 半導体・部品テストシステム事業、メカトロニクス関連事業など
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早い時期から仮想メカ環境上でのソフトウェア検証を構想

株式会社アドバンテスト様は、1954年の設立以来、計測と試験分野で世界市場を牽引してこられました。半導体・部品テストシステム事業、メカトロニクス関連事業、およびそれらに関わるサービスを提供し、エレクトロニクス、情報通信、半導体製造など、最先端の計測技術が求められる産業界に貢献し続けられています。

半導体市場は製品価格競争の激化が進行し、それに伴う減産や在庫調整などに見舞われた日本メーカーが、苦境を強いられ続けてきたことは周知の通りです。その中で半導体検査装置の大手メーカーであり、特にメモリテスターをはじめとする自動テスト装置の分野では、ワールドワイドでトップを走り続ける同社。そのビジネスは堅調で、販売実績はもちろん顧客満足度調査においても、常に高い評価を獲得し続けています。2011年には半導体検査装置で世界第3位の米・ヴェリジー社を買収、さらなる開発効率の向上や柔軟な生産体制の拡充・構築、海外事業展開のフットワーク強化を図っておられます。

同社とVPSの出会いは非常に古く、FA事業部 FA商品開発部 HS開発1課 課長 大西様はその経緯についてこう説明されます。

「初めてVPSと出会ったのは、2001年でした。その頃のソフトウェア開発におけるデバッグ環境は、実機への依存度が非常に高かったんです。したがって、メカ開発部隊で設計変更や何らかのトラブルがあった場合などで実機が使えなくなると、検証がストップしてしまうわけです。そこで、実機ではなく仮想マシン環境上でバグや動作性を確認しながらソフトウェア開発ができれば、開発効率が大幅に向上する筈だと考えました。しかし、当時はまだ設計変更対応などの負荷も高く、時期尚早であるとの判断をしました。」

グローバル戦略推進のエンジンとして仮想メカ上の検証に再挑戦

グローバル市場を睨んだ戦略を進める同社は、世界各国のグループ会社の再編をはじめ、次代に向けた施策を通じてさらなる成長を目指し始めました。その中で、再度3Dデータを基盤とした仮想メカ環境を活用することで、ソフトウェアの開発生産性を向上させようという気運が高まっていきました。また生産拠点の海外進出が進む中で、PLM(Product Lifecycle Management)を追求し、開発~生産に関わるリードタイムの短縮やフロントローディング、顧客ニーズの吸い上げや開発への反映、上流~下流を貫く工程間の双方向フィードバック体制強化などが求められ始めました。

「最初に仮想メカ環境での検証を考え始めた時代と比べれば、PCのCPUパワーも格段に向上しています。そこで、再度実機を使わないデバッグ手法を検討しようということになったのです。」(大西様)

そこで同社はFAビジネス部門の主力製品であり、デバイスを自動的にテストシステムに供給・分類する『ダイナミック・テスト・ハンドラ』のソフトウェア開発に伴うデバッグを、仮想メカ上で進めるための検討を始められたのです。ある他社ツールの導入を前提とした評価を進め、過去にVPSを評価したときと同様のユニット・ワーク(99個)を搬送するシミュレーションを実施しました。その結果について、FA事業部 FA商品開発部 HS開発1課 望月様は「半年の期間を費やしたものの、結局、実際の開発シーンでの活用は難しいという結論に至りました。」と語られます。

VPSの導入で予想以上の成果を達成し積極活用による効果に期待

そして11年の時を経て、再度VPSに白羽の矢が立ったのです。

「先ほども申し上げましたように、前回の評価から相当の時が過ぎ、PCの処理能力も飛躍的に向上しています。そこで、デジタルプロセスにVPSのスペックを問い合わせたところ、メカ機構動作設定、アクチュエータやセンサモデル設定、ワーク搬送に関わる設定など、あらゆる面で大きく機能強化されていることを知りました。さらに、かつて大変苦労したカム設定も非常に簡単になったと聞き、『それならば・・・』と再度VPSの評価を実施することにしました。」(大西様)

その結果は、予想以上のものでした。

「先に評価した他社ツールで半年以上かかっていたワーク搬送動作設定が、1週間で完了したのには驚きましたね。もちろん、仮想メカもスムーズに動きました。最終的に設定が短期間ですむこと。さらにワーク数に関わらず、スムーズにシミュレーションを進めることができる点などを評価し、『これなら実践ツールとして活用できる』と、導入を決定しました。」(望月様)

実機での評価は誤動作を招く危険性もあり、そのレベルが大きければ、試作機を壊してしまう場合もあります。それは開発期間の遅延に直ちにつながります。しかし、デジタルデータによる仮想メカならば、問題点も含めたメカの動作を視覚的に確認することができ、より大胆なトライアルを進めることが可能になりました。また、仮想メカモデル作成中に「実際のものができる前に、部品相互の動干渉が確認できる」という効果も生まれました。その中で、設計者のスキルアップも加速されていくという副次効果も期待できそうだということです。

「制御プログラム作成中に多少のメカ設計変更があったとしても、VPS上での変更作業は大きくないので、そのままソフトウェア開発を続けられることが判明したのも大きな成果でした。さらに、実機では見えないさまざまな角度から動作確認ができるので、さらに詳細な検証も実現しました。」(望月様)

図1.VPSによる仮想メカモデル作成中画面 メカ担当者自身が実際に機構を動かし、動的干渉のチェックが可能
図1.VPSによる仮想メカモデル作成中画面
メカ担当者自身が実際に機構を動かし、動的干渉のチェックが可能

期間短縮と1,000万円のコスト削減を実現しさらなる活用シーンの拡大を目指す

同社は【メカの組立開始~ワーク搬送確認】について、実機とVPSで作業期間を比較されました。その結果、実機ではメカ組立後にも調整や不具合改善などの必要があり、ワーク搬送確認までに多くの時間を要し、結果としてVPSは約1ヵ月間の期間短縮を実現しました。「さまざまな削減効果を費用換算すると、約1,000万円ではないかと考えています。」(大西様)

図2.動作が目視で確認できるので、モータ駆動距離やシリンダセンサのオンオフなど、仕様書と違った動きを発見し、記載ミスなどのチェックが可能
図2.動作が目視で確認できるので、モータ駆動
距離やシリンダセンサのオンオフなど、仕様書と
違った動きを発見し、記載ミスなどのチェック
が可能

図3.VPS上では自由に視点を変えることが可能 実機では見えない部分の確認も容易
図3.VPS上では自由に視点を変えることが可能
実機では見えない部分の確認も容易

同社は今後さらに『ハンドラ』を1台丸ごとシミュレーションしていきたいとしています。しかし、フルシミュレーションを実行する場合、部品数は約13万点にもおよびます。そこで、各工程への組み込みを目指して各部署への働きかけを進めました。というのも、複数の人たちが同時にVPSを活用することで、開発効率がさらに向上するためです。そこで2012年10月にライセンスを追加して、ソフトウェアからメカ設計へとVPSの活用範囲が一層拡大することとなりました。今後さらに量産プロセスへも裾野を広げ、上流~下流を貫く2ウェイコミュニケーションの活性化を進めていく方針を定められました。

最後に両氏は、今後の展望を以下のように語られました。

「デバッグ段階では、実速度の解析までは必要ありません。しかし、最終的に1台丸ごとの解析を目指すとなると、実際のマシンそのままのフルスピード解析も必要になります。またワークも増えていきますので、当然これまで以上のPCパワーも必要になってくるものと思います。」(望月様)

「実際『ハンドラ』1台のフル解析には相応の工数が必要なので、それをあらかじめ開発工数に盛り込んでおく姿勢が大切です。さらに、仮想メカや制御メカモデル作成には、高度なノウハウが求められますので、今後ともデジタルプロセスの協力や助言をいただきながら、連携を強化していきたいですね。」(大西様)

弊社は、次機種での実機レスデバックの本格適用に向け、環境整備や技術支援を継続し、今後もお客様のご期待に応えていきます。

(VPSビジネス部 吉村)

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